うらごえの裏声

へっぽこ院生の日常

この問いは誰のものか

突然ですが,研究していて「自分って何のために研究してるんだろう……」ってなったことありませんか。私は不出来な院生なので,割としょっちゅうあります。自分のやってる研究で,何がわかったんだろう……何が面白いんだろう……いつもそんなことを考えては辛くなります。

もちろん,単に自分の勉強不足ということも十分にある。つなぽんさんのブログで指摘されているように,「知識不足で当該研究の意味や面白さがよくわかっていないために、その研究が無価値だと感じてしまっているパターン」というやつである。だから実際に少し自分のやってる研究テーマに関して,例えば理論の勉強をするとか,ちょっと違うけど似たようなことを扱っている研究とか,そういうことのを取り込んだりすることで,「お,実はちょっとおもしろいんじゃないの?」と思い始めたという経験もあるにはある。

で,仮にそのちょっと増やした知識で自分の研究が少し面白そうと感じたとしよう。その問いは果たして自分の問いなのだろうか。たしかに先行研究によって自分の研究を位置づけることは大切なことだ。先行研究を整理し,問題点や残された課題を指摘し,それを修正した上で新しい提案をするというのは科学の基本的な営みだ(とされている)。でも,結局それって,先行研究の問いであって,自分の問いではないんじゃないか。そんな気が常にしてしまうのだ。

なんで突然こんなことを書き始めたのかというと,こんな記事をふと目にしたから。

wired.jp

タイトルには「常識」とありますが,本文の言葉で言うと「一般人の素朴な疑問」の感覚を持て,ということのようです。以下一部引用しますが,ぜひ全文読んでみてください。

関西のおっちゃんにヒッグス粒子の話をしてみてください。絶対に「で、何なの? それが何やねん?」と聞かれます(笑)。そういうシンプルな問い、いわば、もって生まれた「常識」を起点として「自分がやっていることは、いったい何なのか?」と自らに問いかければ、細かくはならずに深くなれる、そう信じているんです。一般人の素朴な疑問、つまり常識的な感覚を学者はもつべきなんです。自分自身を一歩離れたところから考える機会は多ければ、多いほどいい。

結局先行研究から生まれた問いって,物にもよるけど,セオリーインターナルな問いだったりするし,既存の研究の問題点や課題を指摘していくってことは,悪く言えば「重箱の隅をつつく」行為(「悪く言えば」ですよ!)。だから,その当該分野とかでは意味のあることなのかもしれないけど,結局それって要するに何がわかってどう面白いん?ってなったときに,分野の中のことばでは説明ができるけれど,分野という保護を離れてしまうと,結局何なのかよくわからなかったりする。だから私は専門外の人に自分の研究を説明するのがすごく苦手。

自分の問いを持っている人は強い。その問いというのは,先行研究がどうこうとかじゃなくて(もちろん先行研究もいっぱい読んだのだろうけど),こういう「素朴な疑問」から来ていることが多いような気がする。そういう人の問いは,シンプルだし,面白い。今まで考えたことなかったけどよくよく考えたらたしかに不思議だ,面白いなとなる。そして何よりそういう人は研究を楽しんでいるように見える。

翻って自分の研究を見たときに,結局自分の研究の出発点は先行研究だし,セオリーインターナルな話なのである。先行研究の問題点と課題を指摘して,修正するという典型的なパターン。「先行研究にはこういう問題があって,解決しなきゃいけないから,こういう研究をした結果,こういうことがわかりました。」というやつ。でも,それは自分の問いから出てきたものではないから,やっていてどこか面白くない。研究発表をすると面白いというコメントはそれなりにもらえるので,まぁ分野内的にはそこまで悪いわけではないんだろうけど,どこか自分のものじゃないような,そんな気がしてしまうのである。じゃあ他の問いを探したら?となるわけだけど,なかなかすぐ見つかるものでもないし,そもそも博論書いてる学生がやることじゃない*1。終わったら一旦ゆっくり考えたいとは思っているけど。

先行研究の批評はそれなりにできるつもりではいる。問題点を指摘する訓練は院生時に結構がっつりやるし,そういったところから新しいテーマを見つけることは多分できる。でもそれって単なる「批評家」に毛が生えただけでしかないよなぁ。友人の指導教官が「批評家になるな,プレイヤーになれ」と言っていたという話を聞いたことがあって,自分の中でも結構気をつけてはいたりするのだけど,結局やっていることは変わらない。いつになったら批評家から抜け出すことができるのだろうか。あるいは一生このまま批評家なのだろうか。そういうことを考え始めると,やっぱり研究者になるのは向いてなかったのかなぁ,なんて弱気になったりするのである。

【追記】書き上げて公開してよっしゃ寝るかと思って布団に入ってから色々考えた結果,どうも「現象ベースは正義,理論ベースは悪」みたいな感じの書き方になってしまったかなぁとちょっと反省。もちろん先行研究の問いからとか理論ベースで自らの問いをしっかりもってやってる方もいらっしゃると思います。なので,理論をどうも自分のものにできていない悩める院生のつぶやき程度にとらえていただければ幸いかなと。あとは「理論」の強固性というか,どの程度しっかりしているのかというところも関連してくると思うので,分野とかそれこそ同じ専門の中でもどの理論に寄って立つかで話は違ってくるのかもしれない。まぁいずれにせよ要するにまだまだ修行が足りないんだなぁ。

*1:一応今度の7月に博論を出す予定になっている。果たして間に合うか?!そもそも間に合うの定義は!?

一眼初心者が伊丹空港周辺の撮影スポットを紹介してみる

一眼レフを買ってからというものの,近場にある伊丹空港周辺によく通うようになった。伊丹空港は良い。何故良いかというと,飛行機をいろんな角度から,しかも割と間近で撮ることができるスポットが周囲に点在しているからだ。今回は一眼超初心者の私がD5500ダブルズームキットのレンズ(18–55mmと55–300mm)で撮影した写真をいくつか紹介しようと思う。これから飛行機写真デビューしようと思ってる方の参考になれば。

伊丹空港展望デッキ(順光:午前中)

飛行機の撮影でまず思い浮かぶのは展望デッキでの撮影。伊丹空港は北ウィング(JAL側)と南ウィング(ANA側)それぞれ4階が展望デッキになっている。

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デッキからは駐機場の様子が見渡せる。空気が澄んでいれば大阪の都心部まで見えることも。

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ここからは駐機している飛行機を思いっきり大きく切り取とれる。整備士さんのお見送りの一コマもばっちり。

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よくよくコクピットを見てみると,パイロットさんが手を振ってくれることが結構ある。ちょっと心が和む。

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アクセスも良いので手っ取り早く撮れるのがいいですね。空港を利用するついでに寄れるのもメリット。ふらっと立ち寄ってみては。

営業時間:6:00–22:00(最終入場時間21:30)
駐車場あり
HP: http://www.osaka-airport.co.jp/

伊丹スカイパーク(順光:午後)

伊丹空港定番スポットの一つ,伊丹スカイパーク。なんと滑走路のすぐ真横。とても広く遊具も充実しているので,土日は家族連れで賑わっている。

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ここからは離陸直後の飛行機を後追いしたり,真横から流し撮りなんかも楽しめる。

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ちなみに冒頭では300mmと書いたが,思いっきりどアップにするのでなければここからの撮影は200mmもあれば十分という印象(ただしAPS-Cでの話なので,フルサイズ換算だと300mmはほしいかも)。そういう意味でも撮影ハードルは割と低いと思う。

アクセスは阪急伊丹駅 or JR伊丹駅からバス(22系統岩屋循環or25系統大阪空港行き)で10分程度。ただし30分に一本くらいしか走っていないので,予め時間を調べた上でしっかりタイミングを狙って行くのがオススメ。25系統は逆に大阪空港から乗ることもできます(神津・阪急伊丹経由JR伊丹行き)。大阪空港からは北ターミナル側にある9番乗り場から。

営業時間は7:00–21:00(4–10月の土日祝)
9:00–21:00(4–10月の平日・11–3月の全日)
駐車場・駐輪場あり
HP: http://www.city.itami.lg.jp/skypark/

スカイランド原田(順光:午後)

スカイパークの南端にはスカイランド原田というスポットがある。ここは上下水道の処理施設で,屋上を広場として開放している。またここの駐車場も撮影スポット。写真右側の階段を上がって右に行くと屋上へのエレベータがある。左側が駐車場だ。

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ここは滑走路端に近く,伊丹空港は基本的に南側から北に向かって離着陸をするパターンがほとんどなので,滑走路に進入してくる離陸機や着陸の瞬間を間近で狙うことができる。下の2枚は駐車場から撮ったもの。

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接地の瞬間のタイヤスモークなんかもここからならバッチリ狙える。 

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営業時間:9:00–17:00
定休日:木曜日
駐車場あり
HP: http://www.city.toyonaka.osaka.jp/shisetsu/suidou/skyland_harada/

千里川土手(順光:午前中は滑走路東側,午後は滑走路西側)

そして伊丹といえば!ここ千里川土手。滑走路南端のすぐ後ろに位置するこの土手は,飛行機の最終進入コースの真下。つまりすぐ頭上を飛行機が通過していくというわけ。

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こんな感じの距離感。真下にいるともっと近く感じる。ここからは着陸直前の飛行機を正面から捉えたり,

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着陸寸前を後ろから狙ったりなんて撮り方ができる。

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ちなみに広角や魚眼なんかで楽しめるのもここ。魚眼レンズですぐ真上を通過する飛行機をダイナミックに捉えたりできるのも千里川ならでは。いつか撮りたい。魚眼レンズほしい。

アクセスは阪急曽根or岡町駅から徒歩20–30分。アクセスはあまり良いとは言えないが,めんどくさければ岡町駅からレンタサイクルなんて手もある。レンタサイクルを借りてしまえば千里川土手からスカイパークまで足を伸ばすこともできるので一石二鳥。道がわかりにくいので岡町からの地図を貼っておきます。

この場所はいくつか注意事項があって,まずトイレがない。一応近くにコンビニがあるのだけど,それでも3,4分程度歩かなければいけないので,トイレは駅などで済ませておくほうが良いと思う。それから付近は駐車場がなく駐車禁止の取締も厳しいので,車での訪問は避けたいところ。

オススメ周遊コース

さて,上で幾つかスポットを紹介してきたが,実はこの記事の順番に巡ることができる(逆順でも良い)。まずは伊丹空港に向かい展望デッキで撮影。順光を狙いたければ午前中に撮影を済ませ,ここで昼食。次にバスでスカイパークへ。スカイランド原田もスカイパークの南端なので,公園を突っ切ってすぐにある。そして最後は千里川土手で〆る。お帰りは歩いて阪急曽根駅へ。ただし,スカイパークから千里川土手は歩いての移動になるのだが,ここが結構距離がある。30分くらいかかるので,場合によってはスカイパークで打ち止めにしても良いかもしれない。スカイパークから千里川への徒歩のルートはスカイランド原田のHPに地図がある。

こんな感じで伊丹空港の周りには間近で飛行機を楽しめるスポットがいっぱいある。間近で見る飛行機は結構感動するもの。航空ファンでなくても十分楽しめると思うので,近くに住んでいる方は次の休日に足を運んでみてはいかがでしょうか。

ラフマニノフのピアノ協奏曲3番が熱い

ラフマニノフいいよね。趣味でピアノをやっていたおかげで,そこそこクラシック音楽を聴くのだけど,最近実家に帰ったときに妹にオススメされたラフマニノフのピアノ協奏曲3番が熱いという話をしようと思う。

ラフマニノフといえばこの曲?

クラシックピアノと聞くと,まずベートーベンだとかショパンなんかが思い浮かぶ人が多いんじゃないだろうか。あとはリストとかドビュッシーとかシューベルトとかシューマンとかもいるけど,この辺に比べると知名度ではいまいちな気がしなくもない。いや単に私が知らなかっただけかもしれないけど。でもこの曲なら一度は聞いたことあるはず。ラフマニノフのピアノ協奏曲2番。


Rachmaninov Piano Concerto No. 2 performed by Evgeny Kissin

(演奏は0:54あたりから)

そう,この曲は「のだめカンタービレ」で玉木宏が演じる千秋先輩が演奏していたアレである。あと浅田真央選手が演目で使っていた曲としても有名。なので冒頭なんか特に聴き覚えがある方も多いんじゃなかろうか。

私はピアノ協奏曲は最終楽章のフィナーレを聞くのが好きで,他にもショパンのピアノ協奏曲第1番の最後らへんは好きだったりするのだが,この曲も例に漏れず最後がとても好き。動画でいうと36分あたりから(でも時間がある人は全部聞いてみてください。やっぱり全部聞いてからこそのフィナーレだから感動的だと私は思うのよ)。うーん,とても優雅。弦の奏でるロマンティックな旋律の間に,ピアノが和音を埋めていく感じ。そして終局へ勢い付けて向かっていく。まさにフィナーレ。ラフマニノフ,いいよなぁ。

第3番のフィナーレにやられる

ところが,こいつを超えてきた(と個人的には思っている)のがピアノ協奏曲第3番。とにかくちょっと聞いてみて。


Yefim Bronfman: Rachmaninoff Piano Concerto No. 3 in D minor, Op. 30

第3楽章は後半どこで区切ろうか迷ったくらい見せ場が多いので,これもほんとに時間があればぜひ頭から聞いてもらいたいのですが,とりあえず37:30あたりから聞いてみてください。これも第2番と似ているのですが,第3番の違うところはピアノも旋律を追ってるところ。弦の旋律とピアノの重厚な和音が合わさってとても壮大な音楽を奏でています。もちろん優雅さもあるのだけど,第2番で感じる優等生的な優雅さとはちょっと違って,とにかく情熱を感じるフィナーレになってると思います。これでもか!これでもか!というくらい盛り上げてくる感じ,まさに絶頂。そして余韻を与える暇もなくピアノが駆け下りていき,そしてまた昇っていき,終局を迎える。こいつを弾けたら本当に気持ちが良いのだろうなぁ。死ぬほど難しいけど,こいつを弾ききって死ぬのも悪くないなぁ。

ちなみにラフマニノフってのはめっちゃくちゃ身体が大きい人で,手も大きくて有名。ドから上のソまで届くというから驚き。ちなみに私はドから上のミがギリギリ届くくらい。それだけ彼の手はでかい。その身体的特徴もあってか,やたら重厚な和音を使うのが特徴だそうです。この和音,鐘の音を模したものだと言われていて,実際に「鐘」という名前の,これまた重厚な和音が特徴の曲もあるくらい。

ラフマニノフ: 前奏曲 嬰ハ短調 作品3の2 《鐘》 アシュケナージ - YouTube

冒頭で挙げたピアノ協奏曲第2番の冒頭なんかも鐘をモチーフにしてるなんて言われてますね。あれもめちゃくちゃ幅が広い和音で,やっぱり手が大きかったんだなぁという感じがします。

最後に,そんなに聴き比べたわけではないのですが,一枚で2番と3番が聞けるオススメCDを紹介します。2番なんかは演奏によってはもう少しゆったり目に弾く人もいるのですが,個人的にはこのCDの演奏くらいのテンポが好みです。上で書いた3番のフィナーレは圧巻。ぜひいいヘッドホンで,(耳が壊れない程度に)ちょっと音量を大きめにして浸ってみてください。文字通り鳥肌が立ちます。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第3番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第3番

 

色鮮やかなことば

私は本が嫌いだった。まともに本を読む習慣がついたのは学部に入ってからだ。それ以前に本を読んだ記憶は本当に学校の読書感想文の課題くらい。あれほど苦痛なことはなかった。

学部に入ってからも,基本的には読む本は専門書とか論文みたいなちょっとお硬いやつ。小説とか文学は全然興味が出なかった。

大学院に入って論文を読む量が増えた。息抜きの読書も,ちっとも理解できやしない脳科学の本とか,進化論の本とか,そんなのばっかりになった。小説にちょっと手を出してみたこともあるけど,あんまり長続きはしなかった。

論文を読むという行為は論理を追う行為だ。著者が紡いだ論理の道筋を,丁寧に追っていく。時にその論理は迷路のように複雑で,簡単には追えないときもある。でも,書き手によってはとてもきれいな一本筋が見えたりするときがあって,そういうときは「おおこの論文はすごい」となる。

でも論文の迷路を歩いていくことは,冷たいコンクリートの間を彷徨う感覚に似ている。モノトーンで冷たい壁の間をひたすら歩いて行く。そこには情景も何もない。ただただ様々な事実のようなものが淡々と並べられているだけ。

最近とある人の文章を読んだ。その人の文章は情景に溢れていた。その人の紡ぐ言葉ひとつひとつが鮮明な世界を描き,まるでその場に身を置いたような感覚になる。色は鮮やかで,温かい。どうしたらこんな文章が書けるんだろう。そんなことを思った。

たぶんこれからも冷たいコンクリートの間を彷徨う人生なのだろうし,実際自分が書くのもきっとそんな冷徹な事実のようなものが並べられた味気のないものなのだろう。研究の世界ではそれが求められている。だから今更自分がその世界から脱せるとは思えないし,脱する必要もないと思っている。でもたまには色鮮やかな温かいことばに触れるのもいいかもしれない。そんなことを考えたりしつつ,今日も論文の要旨を書いている。

はじめての一眼レフを買ったときに迷った話

一眼がほしい!突然そんなことを思いついてしまった。きっかけは後輩にミラーレスを借りて一日京都を撮って回ったこと。それからと言うものの,一眼の記事を探しては読み,探しては読み,あ〜〜〜ほしいな〜〜〜ととかしているうちに,よし買ってしまおうとなった。結局NikonのD5500を買うことになるのだが,それまでの紆余曲折の話をしようと思う。

軽さは正義!ミラーレス!

とりあえず予算は10万以下。だいたい7万くらいで行けたらいいなと思っていた。ということでまず最初に考えたのはミラーレス。もちろん安いというのもあるけど,それに加えて私がすごいめんどくさがり屋で,とにかく気軽に持ち歩ける,それこそ普段からカバンに入れて置けるようなサイズにしておかないと,絶対押し入れの奥深くに眠ったままになると思ったからだ。あともともとカフェ撮りをするつもりだったので,ミラーレスのほうがいいかな(レフありだとでかいしシャッター音とかも気になりそうだし…)とも思っていたのもある。ということで最初の候補がこれ。

なんでオリンパスだったかというと,昔に持ってたのがE-PL1sで,当時は確かミラーレスだったらオリンパス!みたいなよくわからない理由で買った気がする。あと見た目がオシャレ。オールドカメラっぽくて良い。どうせ性能とかは最初わからないし,見た目から入ってモノ自体に思い入れを持つことも悪くないだろうと思っていた。ということで高鳴る期待を胸に,いざヨドバシ。

APS-Cが気になりだす

ミラーレス見たついでに,他のメーカーさんはどうかな?とか,レフありのほうはどうかな?と気になりだしてきた。とりあえずレフありはCanonNikonの定番メーカーのブースを見たわけだが,そこで運命の出会いを果たす。そう,Nikon D5500である。

NikonAPS-Cのラインナップとしてエントリー向けに属するD3000番台,D5000番台,そして中級者向けにD7000番台がある*1。私が買った時点の最新ラインナップはD3400,D5500,D7200だった。予算の問題でD7200はほぼ考慮になかったが,とりあえず3機とも手にとっていじってみる。ここでD5500の手に馴染む感にビビっと来てしまったのである。

D5500は約470gとめちゃくちゃ軽い。レフあり=重いのイメージを持っていたのだが,そのイメージは完全に壊された。これならレフありでもいいんじゃないか,と。もともとレフありにも憧れがあったし。それにD5500のグリップは一世代前のD5300に比べて深くなっており,持ったときの安定感が私の手にはものすごくフィットした。

と,ここでE-M10の話に戻るのだが,逆にE-M10のコンパクトさが私の手に馴染まないことに気づいてしまったのである。なんだか操作しづらい。そう,コンパクトすぎたのだ。この時点で,レフありAPS-Cの購入はほぼ決定。というかもうD5500買おうと思ってた。

ボディのみか標準ズームキットかダブルズームキットか

エントリー向けの一眼はだいたいボディのみ・標準ズームキットのみ・ダブルズームキットの3種類の構成で展開されている。次の選択肢はここだが,ここは割と悩まなかった。まず一眼を買って何を撮りたいのかを考えた結果,次の2つが浮かんだ。

  • スイーツ(ケーキ)
  • 飛行機

なんともバラバラな感じだが,この時点でダブルズームキット購入がほぼ決まっていた。飛行機を撮るならそれなりの焦点距離が無いと多くの場合厳しいからだ。

ちなみに,ズームが必要ないならば,ボディだけ買って単焦点レンズを買い足すという選択肢もありうる。実際に多くのブログで勧められていて,一瞬こちらも考えたが,やはり望遠がとりあえず安く手に入るということを考えると,ダブルズームキット一択だよなぁという結論になった。でも単焦点ほしいよ単焦点

宿敵D5300現る

D5500買うぞ!と思って近くのカメラのキタムラさんに。一応ここで店員さんにも相談してみると,1世代前のD5300はどうですか?というおすすめを頂いた。そう,ボディは消耗品だし技術革新が早いので,どんどん新しいモデルが出てその1世代前は型落ちで安くなるのである*2。同じお金を払うんだったら,型落ち品を買って余った分レンズに継ぎ足すなどの選択肢も出てくる。し,実際これも後で調べてみたら,結構そういうことを書いているブログが見つかった。ちなみに差額はダブルズームキットで2万くらいだった気がしている。さあどうしよう。

紆余曲折経て結局D5500へ

冒頭にも書いたとおり,最終的にはD5500を購入することにした。キタムラの店員さんせっかく教えてくれたのにごめんなさい。決め手は次の2つ。

  • グリップと重さ
  • D5300のダブルズームキット2付属のレンズの焦点距離が55–200mm

重さはD5300が約530gなのに対し,D5500が前述の通り約460g。差は約70gなので体感はほとんど変わらない,と思っていたが,グリップが良いおかげだろうか,D5500は体感以上に軽く感じた。

そして一番の決め手が焦点距離の違い。これは最初は全然気づいていなかったのだが,D5500のダブルズームキットとD5300ダブルズームキット2*3付属のレンズが違うのである。飛行機を撮るのだとどうしても遠距離から狙うことになるので,焦点距離は長いほうが望ましい。

ちなみにCanonはというと・・・

レフありに決めた段階でCanonも考慮はしていた。軽さをとるならばkiss X7/X7iなどの選択肢がありえたが,スペック的にはD5500よりも一段劣るレンジ。スペックで対等といえるのはX8iということになるが,やはり若干重いし,性能面でもD5500が上回っているという記事を見つけたので,やはり買うならD5500ということになった。

EOS Kiss X8i vs D5500 vs K-70性能比較レビュー!初心者にオススメの機種はどれ? | Amazing Graph|アメイジンググラフ

まとめ

長くなってしまったが,これから一眼を買おうという人は次のことを考えつつ悩んだらいいんじゃないかなと思う。

予算。これは決めないと始まらない。上限を決めて,そこから何をどの優先順位で削るかを考えるといいと思う。

携帯性。常にカバンの中に忍ばせておいて,日常スナップ(街撮りとか子どもの写真とか)をガンガン撮りたいとかならばミラーレスという選択肢になる。多少大きくても気にしないのであれば,レフありでも良いと思う。重くても気にしないかつ予算があるならばD7200なんかも視野に入る。カメラは持ち出して撮影してなんぼなので,携帯性って本当に大事だと思う。

被写体。飛行機を撮りたいとか,運動会の写真を撮りたいとかになると,ダブルズームキットが選択肢として出てくるが,そうでなければ標準キットかボディ+単焦点ということになるだろう。

この辺のことを踏まえた上で,どこのメーカーにするのか,最新モデルor型落ちか,といったことを考えていくと幸せになれるはず。

私はD5500ダブルズームキットでとても満足しています。軽いし,飛行機も撮れる。良い買い物でした。

D5500で撮った写真たち

最後にせっかくなのでD5500で撮った写真を何枚か貼っておこうと思う。ダブルズームキットで撮るとどんな感じに撮れるか,参考になれば幸いです。

まず標準レンズ。

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次にズームレンズでの写真。

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*1:D500なんていうほぼフルサイズみたいなのもありますが,ここでは除外。ほしいけど。

*2:ちなみに私がD5500を買ってすぐ後継機のD5600が発表された。

*3:D5300はダブルズームキットが2種類あって,もう1個のほうはD5500と同じ55–300mmのレンズがついているのだが,こちらは値段がD5500のズームキットと5000円程度しか変わらなかったので,それならD5500でいいやとなった。どうやら55–300mmのキットは旧製品扱いらしく,一部ショップでしか置いてないようだし,アマゾンにも取扱がない。

趣味について

我ながらそこそこ多趣味だと思う。最近は趣味のせいで自分があと3人くらいほしいと思うようになった。趣味のせいで研究が進んでないんじゃないかと思うこともあるが,息抜きの大切さは嫌というほど思い知らされてきたので,最近は開き直っている(開き直れたのもここ最近の話)。今回はそんな私の趣味についてなんとなく書いてみようと思う。
 
ピアノ
これは小3くらいからやってる。知り合いがピアノ教室をやってるということで,親がやってみない?と言ってきたのが始まり。なんだかんだで小3から学部卒まで続けていたので,10年ちょいやってたのかな。ショパンの華麗なる大ポロネーズが好きです。今でも下宿先にキーボードがあるのでたまに弾いてる。というか最近練習の仕方を変えたら以前より指が動くようになってびっくりした。もっと早く気づいておけばよかったと思う。
 
昔はいろいろなことがよくわかっていなかったので,「そうだ,音大に行きたい」と突然思ったりしたけど,先生に「生活できるようになるの大変だからやめときなさい」的なことを言われたことがある。でも結局今も「生活出来るようになるの大変」なことをしている気がする。そういう人生なんだろうなぁ。
 
ピアノをやってたご縁?で,高校・大学はバンドをやっていた。キーボード担当。最初はJanne Da Arcのコピーから入って,幾つかオリジナル曲も作ったりした。今はもう全然作曲なんてできなくなってしまったけど。
 
合唱
これは2015年8月から。後輩が所属してた合唱団に見学に行って,その流れで飛び込み入団みたいな感じだった。合唱経験は本当にゼロだったんだけど,もともと一人カラオケに行くのは好きで,歌うことは好きだったし,2015年3月に演奏会にも行っていたので,興味はあった。
 
いくらピアノをやっていて音楽経験はあったとはいえ,合唱とは全然別物なので,最初の1年はとにかくいろんなことに慣れるのに大変だった。技術的なことをひとつひとつこなしていくので精一杯。表現もクソもない。呼吸の仕方,脱力の仕方,息の当て方,えとせとらえとせとら。
 
そもそもこういう団体に所属することって今までほとんどなかった。部活は中学のときしかやってなかったし,学部のときもサークルはしてなかった。メンバー的に割と若いほうなので,ちょっと年上の,中高の先輩みたいな年の差の人達とどういうコミュニケーションを取ったらいいのか全くわからなかった。
 
最近はやっと慣れてきて,合唱団の中での自分のポジションとかもわかってきた。技術的にも以前よりは慣れてきて,音楽的なところに頭のリソースを使う余裕も出てきた。周りの人とかともだいぶ打ち解けたんじゃないかなぁという気がする。案外時間がかかったなぁ。結構すごい合唱団なので,練習が大変なことも多いけど,楽しくやってる。
 
あと言語学の知見が意外なところで活かされていて,一応「外国語指導」という役職?みたいなのを頂いている(演奏会パンフにそう書いてあった)。主に発音の指導などをやってる。日本語・英語以外の言語の歌をやることが多いので,新曲をやるたびにその言語の音韻体系と発音をWikipediaで調べながらとかしてて,それはそれで楽しい。英語の発音を一時期がっつり勉強してた時期があったんだけど,やっといてよかったと思う。
 
写真
これは2016年10月から。一眼レフ(Nikon D5500)を衝動買いして始めた。主にスイーツとか飛行機とかを撮ってる。週末の密かな楽しみ。早速レンズ沼にハマりかけているが,もちろん買えるような余裕はないので悶々とする。スイーツと飛行機という全然違う対象を撮るので,欲しいレンズも全然違ってくるし…とりあえずまず単焦点が欲しいです。
 
カフェ巡り
上と関連して。というかもともとこっちが先だったんだけど,甘いものを食べにくのが好きです。というか甘いものが好きです。もともと一眼を買おうかなーと思ったのも,行きつけのカフェのケーキを撮るのにもっときれいに撮れたらなぁと思うことが多くなってきたってのがある。神戸に住んでいるので,行くカフェには困らないというかむしろ巡りきれていないのだが,最近はもっぱら行きつけしか行ってない。美味しいんだもんあそこの。
 
ここまで書いてると,なにやら私は「表現する」ってことが好きみたいだ。そのへんは芸術系の短大出てる母親譲りなのだろうか。うちの母親は今も臨床美術とかいうのをやってる。そういうのが好きな母親とガチガチ理系の親父との間に生まれた結果がへっぽこ大学院生の私です。まぁなんというか,成るべくして成った感もある。
 
「表現する」ことが好きなくせに,「表現者」になりきれず苦悩することが多いのだが,その話はまたの機会に。

ネガティブなことが3,4個以上脳内に顕在化すると寝られなくなる

ブログなんて書くのはいつぶりだろう。論文以外の文章をまともに書くのはmixi以来じゃなかろうか。あの頃は本当になんでも適当に思い立ったまま書いていた。この前mixiが日記を公開するとかやってたけど,そのときにログインして読み返したら何言ってんだこいつってなった。10年前の私。黒歴史でしかない。そんな黒歴史をまた作ろうとしているのだろうか。

ねれない。今日も頭のなかでネガティブさんが駆け回っている。今回は3,4人いる。twitterで「負の感情を目いっぱい詰め込んだポエムで語彙力の充実をはかろう!」なんて言われてしまったもんだから,せっかくだし勢いで書き出してみようと思う。ちなみにボキャ貧には定評がある。

まず,いちばん大きいやつは博論の進捗が全然ないということを(うすうす気づいていたけど)改めて認識してしまったことだとおもう。いや気づいてたよ,うん。うすうす。コンドームの名前みたいだ。

なんでちゃんと認識したかというと,今月末にゼミの発表があるんだけど,10月(前回の発表担当時)からほとんど進んでない。というか,10月以降私は何をしていたんだろう。本当に記憶がない。11月は薄ぼんやりと(精神的に)死んでいた記憶があって,12月はなんか色んな人に会ったりしながら某研究会の準備をしていた気がする。それくらいは覚えているが,他になにかした記憶がない。何をやっていたんだろう。特に10月は頭にゼミ発表やってからの記憶が一切ない。あれ??

おまけに某学会のアブストラクトの締切がある。これはもともと先月まで締め切りだったのが,延びて今月になったやつ。こいつもちょっと厄介なんだけど,ほとんど手がつけられていない。つけられていない,じゃなくて,つけていない。

このアブストラクトの締め切りも,ゼミの発表も,何ヶ月も前にわかっていたことだ。でもなぜか気がつけば締め切り前。それまで何をやっていたんだろう。いつもそうだ。締め切り直前にならないとやる気がでないが,いざやる気が出てみると締め切りが近すぎてもうダメだとなるわけだ。そんな事実が,帰省を終えて現実に戻ってきた我が身に容赦なく突き刺さる。

帰省は帰省で,容赦ない現実を突きつけてきた。気がつけば私ももういい年である。私の周りは最近晩婚化だと言われている割には結婚が早くて,この前集まった高校同期(といっても一番仲良くしていた6人程度)ではついに未婚者がマイノリティになってしまった。おまけにみんな医者だのコンサルだのなんかすごそうなことをして自力でお金を稼いでいる。綺麗な奥さんとかわいい赤ちゃんを連れて。

翻って自分はどうだろう。未だに親のスネをかじりまくり,そのくせ無駄な浪費癖で無駄に高い買い物をしたり,高くなくても無駄に買いすぎて(本とかCDとか)散財している。将来職につける保証もない。研究が進んでいれば救いだが,そういうわけでもない。

院生が就職組の同期を見て羨むというのはこの業界?ではよくある話で,そんな話はいくらでも聞いてきた。し,前にもそういうことが何回かあったが,そこまで気にしていなかった。でも実際30がそろそろ見えてきて,就職組と自分の人生の乖離が大きくなるに連れ,なにやらモヤモヤとしたものが重くのしかかってくるのを感じざるを得ない。いや,これ単体だったらそうでもなかったかもしれないが,いろいろ重なってるときにはクリティカルヒットこの上ない。

こうやって書き出してみると,自分の悩みなんて単純なもんで,要するに

  • 研究が進まない
  • 人生先行きが不安だ
  • 同期はすごい

という感じの,まぁよくある院生の悩みだ。こんな事書いてるブログなんてきっと山のようにあるんだろう。そういうのを客観視するという点では,ブログも悪いもんじゃないのかもしれない。

なんとなくキリが良さそうなので,この辺で一旦終わりにしておこう。終わらせ方がまだよくわからない。また気が向けば書くかもしれない。とりあえずラフマニノフのピアノコンチェルトでも聞いて,頭の中を駆け回るネガティブさんたちを落ち着かせようと思う。